光学実験の「あったらいいな!」を工場直販・オーダーメイドで支える。

八王子の株式会社ナラハラオートテクニカルは、1972年創業のアルミ加工を中心とする金属加工工場です。光学ブレッドボードや特注アルミプレートなどをエンドユーザからダイレクトに受注しています。

当社は地元大学・専門学校と連携した商品開発や、フィリピンや韓国からのインターン受入れなど、オープンマインドで新しいことに取り組まれています。そのような新しい挑戦の中から育った事業として、今回は「光学実験を工場直販で支えるものづくり」についてお話をお聞きしました。

株式会社ナラハラオートテクニカル 自転車好きの社長 自転車好きで有名な内野社長です。

光学実験を工場直販で支えるものづくりとは?

光学・レーザ実験用装置や部品を販売する光学機器メーカーは、計測ユニット、ホルダ、ステージ、ベースなどを販売されています。しかしそれらは規格品であり、研究者や設計者が自身のニーズに合った部品をオーダーメイドで依頼しようと思うと価格が合わず、納期も必要です。

そこで、当社はそのニーズを捉え、工場直販で光学ブレッドボードやアルミフレーム用特注プレートなど、光学実験で必要な金属加工部品を低価格&スピーディで届けるという事業をスタートしました。

光学ブレッドボード カラーサンプル 光学ブレッドボード カラーサンプル

2000年ころからスタートしましたので、もう20年になりますね。今、当社で一番好評をいただいているのが、アルミニウム製のブレッドボード(光学ブレッドボード)です。

アルミ製 光学ブレッドボードとは、どのようなものですか?

アルミ製 光学ブレッドボードは、非磁性のアルミニウムにネジ穴があいているプレートで、研究者や設計者がその平面に光学系を構築します。光学アセンブリの組み立て、科学実験などに用いられ、別のブレッドボードやブラケットに取り付けることもできます。

光学アルミブレッドボード

行いたい実験ができるよう、さまざまな仕様の光学ブレッドボードがあります。例えばネジ穴の位置、大きさ、密度からアルマイト加工のある/なし、真空用途向けなどがあります。

アルミブレッドボードの様々な仕様

板厚・サイズ・形状 プレートそのものの板厚・サイズ・形状です。
表面処理 低反射率の黒色アルマイト、真空用途向けの特殊な表面処理など、表面処理の方法です。
ネジ穴の密度・パターン・規格 ブレッドボードにあけるネジ穴のサイズ、ネジ穴の密度、ネジ穴のパターン。 また、ミリ規格とインチ規格があります。
取り付け穴・開口部 ブレッドボードを取り付けるためのザクリ穴や、レーザ光やケーブルなどを通すための開口部を持ったタイプです。

当社では、規格品だけではなく、さまざまなニーズにお応えする特注の光学ブレッドボードを短納期、通常2週間でお届けできることをウリにしています。

事業スタートのキッカケは何でしたか?

アルミ加工のナラハラオートテクニカル

当社はアルミ加工を中心に行なっている金属加工業ですが、社内で設計部門も有しており、装置設計なども行なっています。つまり企画して、設計して、製造をすることができるのですね、当たり前ですけども。この、設計と製造を社内で一貫して行うということは、外部からは見えにくいメリットがあります。

それは、設計者は自社の設備を知ったうえで設計でき、加工現場もそれが何に使われるか理解して加工ができるということです。例えば簡単な例ですと、設計者が自社で持っている刃物を知っていれば、その刃物で加工でき、かつ仕様要件を満たす設計をすることができます。


アルミ加工工場と機械設計部門を持つナラハラオートテクニカル

刃物にも値段の差があり、特殊なものほど値段があがります。ところが設計者が加工現場を知りませんと、コスト感が分かりませんので、形状として仕様は満たしているけれど、コストが掛かり過ぎるということは往々にしてあります。

検体のオートサンプルチェンジャー 当社で設計から製造まで行った化学分析装置(検体のオートサンプルチェンジャー)

また、加工現場も同様で、それが何に使われるのか分かれば、無駄に高品質である加工を避け、設計者とのコミュニケーションを通じて最適な精度で加工ができます。

アルミ切削加工品 加工方法の変更をご提案し、コスト1/3を実現した部品加工

ここを活かして、自分達で何か製品を作れないかなと考えたのがキッカケです。さまざまなメーカーが発行しているカタログを調査し、光学ブレッドボードという製品を知りました。設計して加工できるという一貫体制で、お客様のニーズに応える特注の光学ブレッドボードを提供できると考えました。

現在、規格品の光学ブレッドボードも販売していますが、お客様の多くが特注のアルミブレッドボードを求めてこられます。

特注というと、どのようなニーズがあるのでしょうか?

金属加工でしたら、何でもできますよ。

光学ブレッドボード加工例 光学アルミブレッドボード加工サンプル

1.穴加工 

好きな位置に穴をあけて、レーザ光やケーブルを通したり、干渉物を逃がしたりすることができます。

2.ポケット加工

一段深く掘り下げる加工です。部品の干渉を防ぎ、設置部品の微調整ができます。

3.ネジ穴

ネジ穴も、貫通していたりいなかったり、ざぐりになっていたり、サイズや密度以外に様々な仕様にお応えします。ざぐりとは、ネジを留めたときにネジ頭が出ないよう、段付きの穴です。

4.刻印

製品ナンバー、製造ナンバーなど入れられます。

5.平面度

お客様のご要望に応じて、平面を仕上げ、シビアな面精度に対応いたします。

その他、もちろん穴径や穴密度などネジ穴のカスタマイズ、取手を取り付けるなど追加工も行います。

M4/M6のネジ穴を配置した光学アルミブレッドボード 1枚のアルミブレッドボードにM4/M6のネジ穴を配置したコンビシリーズ

エンドユーザが直接工場に製造を依頼するということは、まだまだ知られていない選択肢だと思っています。メーカーさんのカタログに希望のものがある場合は良いのですが、カスタマイズをオーダーしたいと思ったときに、加工工場に依頼しようという発想は、残念ながら、あまりないですよね。

当社は、設計と加工部門を両方持つ強みを活かして、ひとりひとりの細かいニーズを1個から、スピーディに対応できる「特注の相談ができる」工場でありたいと考えています。

今後、力をいれて行きたいことは何ですか?

特注のアルミプレート加工の認知をもっと広めたいですね。アルミフレームの認知度はかなりあがり、筐体をアルミフレームや部品を組み合わせて作ることは、試作や量が少ない製品については便利な手段となりました。

しかし、その筐体に平面を取り付けようと思うとプレートが必要になります。これはとても特注性が高く、つまり、形状や素材、サイズなどが既製品では収まらないことが多くあります。これら、アルミフレームに対応する特注のプレート加工について、「そういうことが実現できる」という認知を広げていきたいと考えています。

アルミフレーム+特注アルミプレートの応用例 アルミフレーム+特注アルミプレートの応用例 アルミフレーム+特注アルミプレートの応用例 アルミフレーム+特注アルミプレートの応用例

【プロフィール】

会社名 株式会社 ナラハラオートテクニカル
所在地 〒193-0803 東京都八王子市楢原町594番地
連絡先 TEL:042-625-6711(代) FAX:042-625-6864 / この企業へのお問い合わせ
業務内容 光学アルミブレッドボードの製造販売
各種アルミ合金・プラスチックの精密切削加工
超精密高速スピンドルによる微細切削加工
省力化自動機器設計・製造
URL オフィシャルサイト : https://www.narahara-at.jp/
光学ブレッドボード : https://www.narahara-at.jp/albb/
話し手 代表取締役 内野 真治 氏


この記事を書いた人:Haruyo Ono

Haruyo Ono

小野 晴世 (おのはるよ)
Web Rocket Inc. 中小企業診断士
新しいアイデアで挑戦する企業の取り組みを取材します。