サスティナブルコスチュームジュエリー、永遠に思い出とあせることなく輝き続けるブロッソ

blosso

日本のスモールファクトリーはなぜ今、自社製品開発に取り組むのか?
枯れない永遠の薔薇、the BLOSSOの躍進。

大手精密機器メーカーの研究開発部を支える、試作板金の株式会社ミューテック35。当社の強みは「短納期」ならぬ「最速スピード」の少ロット板金加工。「速い。しかも高品質。」はメーカー研究開発部にとって非常に重要な要素で、変化の速い市場をリードしていくために不可欠なものでしょう。

日本全国から問い合わせが絶えない当社ですが、この5年にわたり、消費者向けジュエリー枯れない永遠の薔薇「the BLOSSO」の開発、販路開拓に取り組んでいます。このように強みを持つスモールファクトリーの自社製品開発は、今、日本国内でひとつのトレンドとなっています。その背景とは?

ミューテック35のスピード精密板金の秘密

当社の仕事の8割は新規案件。平均ロットは30個以下。金型レスで複雑な絞りのある弱電部品の板金加工を最も得意とし、最速スピードで仕上げます。速いだけではなく高精度。工程にもよりますが、精度は抜き±0.02、曲げ±0.05、溶接±0.1を確保。

一枚板で仕上げた板金サンプル
一枚板で仕上げた精密サンプル

これだけ毎日多様な新しい品物を高精度かつ最速でこなす秘密はどこにあるのでしょうか?もちろんそこには最新設備があり、生産管理システムがあります。クラウドで工程管理情報を共有し、納期情報も共有されています。 しかしそれ以上に当社が大切にしていることが「最短時間で最適な答えを導く」人材育成。短納期で新しい品物と向き合うためには、ひとりひとりの答えを導くスピードが重要です。そのような「考える人材」を育成していくためには、「当事者意識」を高める必要があり、当社の管理システムの基本思想となっています。

「考える人材」育成の一例

・工程ごとに歪の原因となる要素をデータベース化し、参照できる
・品物単位で損益が見える
・お客様からのフィードバックを伝える

このように試作板金のスピード対応に特長を持つ当社では、2004年頃より、得意の薄板金属の加工技術を活かし、オリジナルアクセサリー、ジュエリーのthe BLOSSOを展開しています。株式会社ミューテック35 代表取締役 谷口様にお話をお聞きしました。

the BLOSSO

the BLOSSO開発の経緯、自社ブランドを作りたい

ミューテック35 代表取締役 代表取締役 谷口 栄美子 氏

the BLOSSO開発のきっかけは2008年のリーマンショックでした。当社は商社の下請け仕事がメインであったため、仕事がなくなり売上は激減。ワークシェアリングをせざるを得なく、「受注生産ということは、元請けに仕事がなければ当社にもない」と気付かされました。仕事を待つしかできないのですよね。その時に、「苦しい時でも自分たちの工夫で状況を変えることができる、そのような主体的な手段が欲しい」と思い、自社ブランドを創る必要性を強く感じたのです。

それで、スタッフに「機械も材料もあるんだから、好きなものを作ってみて」と声をかけてみました。もともと、ものづくり好きなスタッフが集まっていますので、そこから生まれたのが、金属でできた昆虫でした。これ、一枚板でできているんですよ。すごいでしょう?1枚の板に、一筆書きのようにレーザーでカットしたあとに折り曲げるとできあがります。

精密板金

できあがったこのセミを多くの人に見ていただいたところ、「売れるよ」と言っていただいたり、新しい仕事をご依頼いただいたり、大変大きな反響をいただきました。

これまで受注生産しか行ったことがありませんでしたから、お客様の高い要求に応えてきた自負はありましたが、自分たちの技術に自ら値段をつけて売るなど、考えたこともありませんでした。でも、受注生産から抜け出すために自社ブランドを作ろう!と決意し、日本らしいものを作りたいと思って、板金×日本でテーマを探し始めました。

時間があれば美術館やデパートに出かけ、「日本らしさ」と「板金」の掛け合わせを求めて歩き回りました。テーマ探しに5年以上かかりました。でも、見つかりませんでした。日本らしさと板金の掛け合わせが…。

板金 × 日本って何?

スモールファクトリーが自社製品を考えるとき、日本と掛け合わせてみようという発想は、よくあることだと思います。日本らしさと言うと思いつくのは、富士山、浮世絵、漆とか…、ですよね。テーマが思いつかず、金属を切削して富士山を作ってみたり、金属に漆を塗ってみようかと考えたこともあります。

スタッフに相談したところ「漆はもともと木の保存のために生み出された工芸なのに、金属に塗ってどうするんですか!漆は生きているんですよ」と叱られたりしました。みんなモノづくりが好きで、木工に知識があるスタッフも多く、焦ってもダメだと教えられました。

そんなある日、参加した研修で、アドバイザーの方が「高品質も日本らしさだと思いますよ」とおっしゃられ、私の中でブレイクスルーとなりました。高品質が日本らしさなんて…、それが特長になると思ってもいなかったのです。私達は、自分たちのことは、よく見えていないものですね。

「高品質」ならもともと得意ですから、何でも作れるわ、という気持ちになっていたところ、娘が「相変わらず仕事ばかり」と言ってきました。娘は大人になった今でも、私が保育園時代に迎えに行けなかったことなどを「寂しかった」と話してきます。この日は「お母さんも仕事で忙しかったけれど、いろいろ貴方のためにしてあげたこともあるのよ。一つくらい覚えているでしょう?」と返してみたところ、少し考えた娘は「何もない」と言うのです!

それで、そうか、人はみんな、良かったことを忘れてしまうんだ。と思いました。

わたし達がふと人生を振り返ったとき、悲しかったこと、辛かったことはたくさん思い出として残っています。でも、楽しかったこと、嬉しかったことを忘れてしまうんですね。

それらを覚えておけるような、嬉しかったときの温かい心や喜びを閉じ込められるような、そういうモノを作ろうと決めました。嬉しいことの代表といえばギフト、ギフトと言えばバラの花。そこで、思い出を錆びさせることなく、時を閉じ込める、「枯れない永遠の薔薇」の製作をスタートしました。

金属でできた枯れない枯れない永遠の薔薇

the BLOSSOに込められた想い

「BLOSSOM」は英語で「(花が)咲く」という意味ですが、最後の「M」をつけずに「BLOSSO」とすることで“咲き続ける”(=永遠)という意味合いを持たせています。生花は枯れてしまうけど、金属は半永久的に形を維持することができます。嬉しいことがあったとき、the BLOSSOを自分へのご褒美にお買い求めいただいたり、プレゼントしてみてください。見るたびに、その時の気持ちを思い出し、その錆びない思い出が、あなたを輝く太陽であり続けます。

コスチュームジュエリー BLOSSO

the BLOSSO 輝きの作り方

板金加工

永遠の薔薇 the BLOSSOには、他のジュエリーにはない独特の陰影が生み出す、奥深い輝きがあります。これは、金属の下地の処理と、その上に下地が透けて見えるように施しているメッキや塗装技術が生み出すものです。薄板金属の特性や加工技術を持つ当社でしか実現できないことです。その技術をいくつかご紹介いたします。



枯れないバラの花

イオンプレーティング

イオンプレーティングは宇宙開発の技術から生まれためっきの一種です。真空装置の中で皮膜を定着させるため、従来のめっきに比べて、薄膜で光沢に優れた被膜が得られ、表面の耐久性に優れています。腕時計でもよく使われる発色方法です。金属の質感を活かした発色となります。

イオンプレーティング

粉体塗装

粉末の塗料を吹きかけた後、約200°Cの熱で焼き付けます。粉体の塗料は自動車のボディにも用いられるため日々進化しており、さまざまな風合いを実現できます。新しい粉体塗料でさまざまな試作を行い、花のモチーフに合う色を、加工方法も含めて研究しております。

粉体塗装

焼付け塗装

鏡のようにバフで磨き上げてから、高温バーナーで一枚一枚を焼きます。焼付け塗装の面白いところは、焼く時間に応じて、金属の色が変わるところです。焼いている途中は色が見えませんから、焼き終わって、熱が冷めてから本当の色が分かるのです。さまざまな条件で発色のテストを繰り返し、the BLOSSOの輝きを生み出しています。

焼付け塗装

金属地への丁寧な加工と、その上に金属の風合いを残して施す表面処理技術によって、これらの陰影、奥深い輝きはつくられています。工業分野から誕生した、あたらしい輝きを、あなたの思い出を、いつでも思い出せるものにします。

the BLOSSOの使い方。思い出と暮らす日、思い出を創る日。

the BLOSSOは、マグネットで留めるようになっていますので、ご自宅ではインテリアとして、お出かけのときにはアクセサリーとしてお使いいただけます。普段は暮らしの中で、思い出に囲まれて。お出かけのとき、今日はどの思い出を連れていこう?…そんなことを考える新しい一日もまた、新しい思い出の一コマになっていきます。

インテリアとしての枯れない薔薇

the BLOSSOの薔薇(写真下左)の中心にはコットンボールが入っていて、香水やアロマをしみ込ませて好きな香りも楽しむことができます。顔の位置に向かって自分だけが香りを楽しむ香水とともに、今日も素敵な一日でありますように。

ステンレス製の金属の薔薇

the BLOSSOに取り組んで変わったことはありますか?

はい、まず人材採用にとても良い効果がありました。製造業で働きたい人の多くはものづくりが好きですが、the BLOSSOに関わりたくて応募いただく方が増えました。自社製品開発は、自分たちのアイデアや技術で自由に挑戦できますので、そういうことが面白いと思ってくださる人材の確保に繋がっています。

こんなことがありました。ある雑誌にthe BLOSSOが掲載されたのを、社員さんのお子さんが見つけて「これ、お父さんのところのと似ているね」と言われて見たらthe BLOSSOだったそうです。その雑誌を購入して自宅に持ち帰ったということです。このことを聞いて、とっても嬉しかったのです。自社製品開発は、大変ではありますが、社員が働く誇りのひとつになっていることは、とても嬉しいですね。

また、月に1回社員研修を外部委託で行っていますが、その中でプライベートな将来を語るワークがありました。そこで、the BLOSSOのことを話した社員達がいたようで、それもとても嬉しかったです。自分の将来と、仕事とが、少しでも重なっているのであれば、それは本当に幸せですよね。

新規取引先も増えました。「挑戦する加工屋」を、今、日本のメーカーは非常に求めていると感じます。日本国内から加工業がどんどん減っていることに危機感を感じられており、挑戦する加工屋を今のうちからどこも確保しておきたいのでしょう。これは加工業全体の問題です。新しいことに挑戦し、アイデアや技術力を高め、時代の波を越えていく力をつけなくてはなりませんね。

the BLOSSOのこれから

金属でできた菊の花

バラの花からスタートしたthe BLOSSOは、ピアス、イヤリング、ネックレスとアイテムが増えてきました。そして今、日本らしさという意味で、菊の花をスタートしたところです。菊は日本人にとって特別な花です。パスポートの表面にも皇室を象徴する「菊」の紋章が掲げられていますね。そして、菊はサクラと並んで日本の国花とされています。

私が目指しているのは、日本の工業製品の質の高さを「アート」にまで昇華して、新しい日本のものづくりのカタチとして世界に広めることです。デザインだけでは真似されてしまいますが、高品質な部分を商品の特長とすれば、模倣が難しくなります。the BLOSSOもひとつひとつバリをとったりヘラアインをいれたり、丁寧な手仕事だから、工業製品だけれど工業製品に見えない柔らかいジュエリーとなっているのです。

工業製品にもっと手をかけることで、偶然性が加わり、アートとなっていく。それが新しい日本のものづくりとして世界に広まればいいなと願い、目指していきます。

BLOSSO コスチューム アクセサリー

【プロフィール】

会社名 株式会社ミューテック35
所在地 〒191-0003 東京都日野市日野台1-18-5
連絡先 Tel:042-586-0411 Fax:042-581-8505 / この企業へのお問い合わせ
業務内容 板金加工、the BLOSSOの企画、製造、販売
URL オフィシャルサイト : https://myutech35.co.jp/
オンラインショップ : https://blosso.stores.jp/
話し手 代表取締役 谷口 栄美子 氏



この記事を書いた人:Haruyo Ono

Haruyo Ono

小野 晴世 (おのはるよ)
Web Rocket Inc. 中小企業診断士
新しいアイデアで挑戦する企業の取り組みを取材します。